旧友にさようなら

 私は子供に語気荒く注意することがあります。

 

「『うん』じゃなくて『はい』。」

字面だけ読むと大したことはない、むしろ当たり前のことですが、声を張り上げて言いましたので叱るというよりは怒るという部類に入るでしょう。

 

正直にいいますと、私はこれにそれほど腹を立てたわけではありません。

それよりも私が声を荒げた理由は、面倒なので手っ取り早く言うことをきかせたい、ということでした。

 

こういうのは意図的な怒りといいます。

「子供に対しては怒ることも必要なのではないか。」というご質問を良くいただきますが、これも子供を動かす手段として意図的な怒りを用いていて手放したくない、ということなのです。

 

さて、この意図的な怒りという旧友にさよならを言いましょう。

 

(1)意図的な怒りが、いつ、どのように、なぜ生じたかを知る。

意図的な怒りについて記録してください。

 

・いつ意図的に怒った?誰に怒った?

 

・何を言ったりしたりした?

 

・即時の(短期的な)結果はどうだった?

欲しい物を手に入れた?

相手はあなたを恐れたり、怒り返したりした?

自分あるいは相手に何か望ましくないことが生じた?

 

・長期的な結果はどうだった?

あなたが意図的に怒った翌日、翌週、翌月、翌年に怒りは人々にどんな影響を与えた?

 

・何を手に入れたいと望んだのか?力?イメージ?距離?怒り以外の感情を隠すこと?それともそれ以外?

意図的な怒りには常に理由があるということを覚えておこう。そして、それが手に入れる利得を知る必要がある。

 

書けたでしょうか。

「子供に対しては怒ることも必要」という意見に傾く時は、上で見た短期的な結果ばかりをみていて長期的な結果はすっかり忘れているからですが、しっかり長期的な結果も書きましょう。

 

(2)約束を交わす

さて、あなたの現状について知ったので次は、旧友と別れるという約束を交わします。

あなたが約束を書いて署名、証人にも署名をもらってください。

 

<変わることの約束>

私(    )は、もう怒りを偽ったり誇張したりしないということを約束します。

その代わりに、真実を話します。

欲しい物を直接お願いするようにします。

相手を脅したり統制したりするために怒らないようにします。

 

私が怒りを偽ったり誇張したりしていると思ったら、私にこの約束を思い出させてください。

 

今後、私は怒るかもしれません。

その場合、私は怒っているとあなたに伝えます。

そのときは、怒りが偽りではなく真実であることを約束します。

そしてその怒りは、私の望むようにあなたやみんなを動かすためのものではありません。

 

 署名 (   ) 日付(   )

 証人 (   ) 日付(   )

 証人 (   ) 日付(   )

 

(3)お願いしよう

意図的な怒りを手放すとあなたの影響力は弱まる、とあなたは考えます。

しかし、まあ考えてみてください。

あなたは「『うん』じゃなくて『はい』。」と語気荒く何回言ったでしょうか。

恐らく何万回もという答えが返ってくるのではないかと思いますが、要は意図的な怒りはたいして効果をあげていないということです。

いつもそうだよね、何万回も言ったよね

  

まあ、とにかく効果がない方法は手放して新しい方法を手に入れなければなりません。

 

私自身は旧友と別れきれてはいないのでこの記事を書くのは心苦しいところがあります。

しかし、私が旧友と別れて新しい方法を手に入れる約束として書いておきます。 

 

(参考文献)

ロナルド T. ポッターエフロン、パトリシア S. ポッターエフロン(2016)『アンガーマネジメント 11の方法―怒りを上手に解消しよう』 金剛出版