相手の怒りについての話です。
相手の怒りについての話は今までも書いていますのでこちらをお読みください。
今日は相手が怒っているときにつきものの謝罪について書きましょう。
川合 伸幸(2017)『科学の知恵 怒りを鎮める うまく謝る 』をご紹介します。
こちらは心理学の最新知見を盛り込んだ本です。
単なる著者の経験からの話ではないのでとてもお勧めです。
まず、謝罪に効果はあるのでしょうか。
結論から先に言うと期待したほどの効果はありません。
謝られたけどもやもやは残るといった経験はみなさんあるでしょう。
ただし、謝罪されるとそれ以上の攻撃はできませんから、相手の攻撃をかわすという意味では有効です。
では、謝罪は相手の攻撃をかわすだけで、謝罪で相手の納得を得るのは難しいか、というとそうではありません。
効果的な謝罪というものはあります。
心理学者のシューマンによれば、効果的な謝罪と言うのは以下を含みます。
- 自責の念の表出(悔恨)
- 責任の自覚(責任)
- 補償の申し出(解決策の具体的な提案、補償)
この3つが謝罪の核となるものです。
さらに次の5つが謝罪の付加的な要素となります。
- そのような行為を説明するに到った理由の説明(説明)
- 今後は適切に振る舞うことの約束(改善の誓い)
- 被害者を傷つけたり不快にさせたことの認識(被害者への労り)
- 自分の行為が不適切であったことを認識(不適切な行為の認識)
- 赦しを請う(容赦の懇願)
私がこの記事を書いているのは昨日のマックス・キャリア(株)の講座で、予定の話が終わらなかったからです。
「申し訳ございません(悔恨)。私の時間配分が悪く予定の話が終わりませんでした(責任)。予定の話はブログに書きますから興味のある方はそちらをご覧ください(解決策の具体的な提案、補償)」という謝罪をしてこの記事を書いているわけです。
もう少し大きな損害を与えてしまったということになると、「説明」「改善の誓い」など5つの付加的な要素も必要になるでしょう。
私の知り合いがこんなことを言っていました。
「失敗した時にどういう原因で失敗したかをきちんと説明し、今後はこのように改善すると説明すると相手の信頼は不思議なことに上がる。」
これを聞いてなるほどと思ったのですが、これは「説明」と「改善への誓い」がきちんと入っているからです。
相手が一生懸命謝っていてこちらはもう何も言えないような状況になっているけれども、もやもやが残る、という場合は「説明」と「改善への誓い」が抜けています。
反対に「わかったけど事務的だなあ。」と思う場合は、「説明」と「改善への誓い」があって「被害者への労り」と「容赦の懇願」が抜けています。
というように謝罪に必要な要素を覚えて謝罪してみてください。